2016年10月
4種混合基板
2016.10.31
4種類の面付けした基板を設計しました。

左上が、Cosmo-Z用の125MHzの2ch 14bit DACボード。
右上が、1Gspsの16bit 2ch ADCボード
左下が、Cosmo-Z用SFP+(光ファイバ)拡張ボード
右下が、Cosmo-Z用のユニバーサル拡張ボードです。
左下と右下の基板は1日で設計しました。
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超高速ADCのADS54J60は、いろいろ癖があるADCです。
まず、ディジタルI/Oの電源が1.9Vという中途半端な電圧であること。Spartan-6のVIOを変えてもいいのですが、トラブルと困るのでレベルシフタを乗せました。
それから、プリアンプに使用しているTHS4509という差動アンプは、コモンモード電圧を変えることができるようですが、変えると歪率が増加するようなので、結局は変えられません。
しかし、ADS54J90は、2本の差動入力のコモン電圧を2Vにするよう要求しているので、ACカップリングするしかありません。これだとDCから測れません。
とりあえずはデータシートどおりにACカップリングで作りましたが、いずれはDCから測れるような回路に挑戦したいと思います。
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P板の締め切り時間である17:00に、ぎりぎりに間に合って出図したら、問題があるとの電話がかかってきました。問題の要点は、
- 外形線とパターンが近い箇所がある
- 不要な外形線は消してほしい
- 内層で接続不良している箇所がある
- BGAは半田レベラーではなく、金フラッシュか耐熱プリフラックスにしないとはんだ食われが起きるかもしれない
とのことでした。
外形線に近いパターンというのは、ネジ穴の部分なので、これをNPTにすることで解決。
内層で接触不良というのは、DCジャックの部分。じつは、過去に痛いトラブルがあったので、私としてはDCジャックの端子は内層につなぎたくない。
半田レベラーは、このままで進めてほしい、と回答しておきました。
Cosmo-Zの新基板を出図しました
2016.10.27
ZYNQ搭載のADCボード「Cosmo-Z」の新基板を出図しました。
今回の基板で4回目となり、Type-Cとなりました。
現在の部品数、1038個。
回路的な主な改良点は、
- リアルタイムクロックを搭載した。バックアップ用にスーパーキャパシタも搭載。
- GPSモジュール用のコネクタを追加
- 電源レギュレータをMax 4Aのものに変更
- メザニンコネクタの3個のNCピンにFPGAからGPIOを接続。子基板へ行く信号が3本増えた!
- VCCINT(1.0V)の配線を太くした
- 誤って電源に12Vを加えても、回路が全滅しないようにした
です。この密度の基板によくこれだけのことを追加できたと、我ながら思います。
さらに細かい改良点としては、
- シルクを親切にした
- 大きな積層セラミックコンデンサの裏のViaをシルクで保護
- リセットスイッチとネジ穴の干渉(ネジを回すときにナット回しとぶつかる)を回避
- ADCリファレンス電圧の1.0Vをモニタする端子を追加
- シルクの欠けを修正
などがあります。
基板パターンのチェックにはGCPrevueを愛用しています。
好きなレイヤーだけを見られるので便利です。
LongHoleを作るときに内層を避けないと導通してしまって大変なことになったりするのですが、そういう事故がないかどうか念入りにチェックしています。
Cosmo-ZのIBERTテスト
2016.10.25
インターンの学生さんが、ZYNQ搭載のADCボード「Cosmo-Z」でIBERTテストを試してくれました。
IBERTテストというのは、ギガビットトランシーバのエラー率を測るテストです。
Cosmo-Zには、GTXのポートが2個と、PCI Expressのポートが1個、SATAのポートが1個で、計4個のGTXポートが出ています。

今回のCosmo-Zは社内用に使っている特別品で、XC7Z030-1FFG676Cを使っています。FFG676というのはFBG676より特性が良くできていて、-1でも8.0Gbpsまで出せます。
(FBG676は-2や-3でも6.6Gbpsまで)
このボードは社内検証用なので、電源モジュールとかいろいろ改造されています。
使った同軸ケーブルは、千石や秋月で売られている50cm~2mくらいのケーブルで、数百円のものです。
まず、長いケーブルで1.5Gbpsで行った結果です。75%UI開いていて、優秀な結果です。
次は、短いケーブルで1.5Gbpsで行った結果です。こちらも75%開いています。
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次は3.0Gbpsの場合。68%開いています。短いケーブルだと62%になります。まだまだ余裕です。
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次は4.5Gbps。開きは50%になりました。
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最後は6Gbps。まだ37%ほど開いています。
IBERTのテストでどのくらい開いていれば良いかという目安はよくわからなかったのですが、逆に考えれば6Gbps時に37%も開いているということは、それ以上に周波数を上げられると考えてよいと思います。
4.5Gbpsのときに50%開いていたので、単純に考えれば9Gbpsだと0%になるから、やはり8Gbpsくらいが限界なのかなとも思えます。
また、使っている同軸ケーブルが安物なので、信号品質が劣化している可能性も十分に考えられます。差動信号を同軸ケーブル2本で送るということは、差動インピーダンスがずれるから気持ちの良いものではありません。
この続きは、高級な同軸ケーブルを買ってからにするか、基板上で直接配線をつなげて試してみたいと思います。
MPPC&プラシン箱を作りました
2016.10.20
プラスチックシンチレータと、MPPCという光半導体を組み合わせた、「MPPC箱」を作りました。
6cm×6cm×1cmのプラスチックシンチレータを、4×4に並べた16ピクセルの検出器です。1つ1つの部屋がアルミの板で仕切られているので、隣との光の漏れはない(はず)です。
部屋の天井には回路基板がすっぽり嵌る凹みがあって、そこに、回路が並びます。
東工大の学生さんが、この箱を設計してくれました。
届いたときはこんな感じで、部品がバラバラの状態なのですが、
材料がぶつかったり隙間が空くこともなく、寸分の狂いもなくぴったりと気持ちよく組みあがりました。すばらしい。
軽く動作テストまでしてくれて、
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ちゃんと信号が出ていて、今までと同じくらい、だそうです。光学用の遮光シートを掛ければフタをしなくても信号は見えるということなので、デバッグや調整もやりやすそうです。
蓋を閉じると、完全に密閉されて、遮光されます。
赤い色をした不審な箱ができました。全体の重量は2.2kgくらいでした。これならカバンの中に入れて持ち運ぶことができますね。
これで何を検出しようというわけではないのですが、16ピクセルの二次元の位置特定デバイスとして使えるかもしれません。
Cosmo-ZのADCで毎秒54Gサンプルを達成
2016.10.06
ちょっと大げさなタイトルですが、Cosmo-ZのADCに細工をして、40~54GHzのレートで波形を取ることに成功しました。
いわゆる「等価サンプリング」というものです。
ADCのクロックをちょっとずつ、ちょっとずつずらしながら、繰り返し波形をいろいろなタイミングでサンプリングするというものです。オシロなどに入っている、あの機能です。
ZYNQでやるにはMMCMのダイナミック位相シフトというのを使います。ダイナミック位相シフトを使うと、VCOの周期の56分の1の刻みでクロックの位相をシフトできるからです。
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下の図をご覧ください。
これは、FPGAのI/Oから、8nsの周期で1nsの幅のパルスを繰返し出したものを、ADCでサンプリングしたものです。
Cosmo-ZのADCのサンプリング周波数は、最高でも125MHzなので、8nsの間隔でしかサンプリングできないはずです。ですが、実際には1nsレベルの振動も見えています。
サンプリング速度は、ZYNQの中のVCOの速度の56倍です。この測定ではVCOは750MHzで発振させているので、42GHzでサンプリングしています。ADCクロックを80MHzにするとVCOが960MHzになるので、等価サンプリングでは54GHzでサンプリングできます。
パルスの立下りの部分を拡大してみると、
と、23ns程度の間隔でサンプリングできているのがわかります。1つ1つの値は連続しているので、そんなに滅茶苦茶な結果ではありません。
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一方、同じ波形を40Gs/sの高速オシロで取ってみると、
となっていたので、等価サンプリングもいい線いっていると思います。
オシロではパルスの幅が1nsで見えていますが、Cosmo-Zでは2nsくらいに鈍って見えているので、周波数帯域はだいたい500~1nsなのだと思われます。
まとめると、サンプリング速度は十分にあるけれども、ADCのサンプルホールド回路の時間や、アナログのプリアンプなどによって帯域が制限されているといえます。
詳しいことは、今月発行予定の月刊特電Vol9に書くので、お楽しみに。



















